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投資リスク

リスク要因

 本投資証券への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。

 本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが現実化した場合、本投資証券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなることもあると予想され、その結果、投資主が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下、その他財務状況の悪化による分配金の減少が生じる可能性があります。

 各投資家は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券に関する投資判断を行う必要があります。本項に記載されているリスク項目は、以下の通りです。

  1. 本投資証券の商品性に関するリスク

    (イ) 本投資証券の市場価格の変動に関するリスク
    (ロ) 金銭の分配に関するリスク
    (ハ) 収入及び支出の変動に関するリスク
    (ニ) 投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク

  2. 本投資法人の運用方針に関するリスク

    (イ) 優先交渉権等に関する覚書等に基づく物件取得が想定通りに行えないリスク
    (ロ) 地域的な偏在に関するリスク
    (ハ) 不動産を取得又は処分できないリスク
    (ニ) 投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク

  3. 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク

    (イ) 伊藤忠商事株式会社等への依存、利益相反に関するリスク
    (ロ) 伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社への依存、利益相反に関するリスク
    (ハ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
    (ニ) 本投資法人の執行役員及び資産運用会社の人材に依存しているリスク
    (ホ) 本投資法人及び資産運用会社の歴史が浅いことによるリスク
    (ヘ) インサイダー取引規制等に係る法令上の禁止規定に関する規制が存在しないことによるリスク
    (ト) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
    (チ) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
    (リ) 敷金及び保証金に関するリスク

  4. 不動産及び信託の受益権に関するリスク

    (イ) 不動産の欠陥又は瑕疵に関するリスク
    (ロ) 賃貸借契約に関するリスク
    (ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化のリスク
    (ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
    (ホ) 不動産に係る行政法規及び条例等に関するリスク
    (ヘ) 法令の制定又は変更に関するリスク
    (ト) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
    (チ) マスターリース会社に関するリスク
    (リ) 転貸に関するリスク
    (ヌ) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
    (ル) 共有物件に関するリスク
    (ヲ) 区分所有建物に関するリスク
    (ワ) 借地物件に関するリスク
    (カ) 借家物件に関するリスク
    (ヨ) 開発物件に関するリスク
    (タ) 有害物質に関するリスク
    (レ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク

  5. 税制に関するリスク

    (イ) 導管性要件に関するリスク
    (ロ) 税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
    (ハ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
    (ニ) 一般的な税制の変更に関するリスク

  6. その他

    (イ) 取得予定資産を組み入れることができないリスク
    (ロ) 不動産の売却に伴う責任に関するリスク
    (ハ) 専門家報告書等に関するリスク


  1. 本投資証券の商品性に関するリスク
    (イ)本投資証券の市場価格の変動に関するリスク
     本投資証券は、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、第三者に対する売却に限定されます。

     本投資証券の市場価格は、取引所における需給バランスにより影響を受け、一定の期間内に大量の売却が出た場合には、大きく価格が下落する可能性があります。また、市場価格は、金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。
     そのため、投資主は、本投資証券を取得した価格で売却できない可能性があり、その結果、損失を被る可能性があります。

    (ロ)金銭の分配に関するリスク
     本投資法人は分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産及び不動産を裏付けとする資産の当該裏付け不動産(以下、本「(1) リスク要因」の項において「不動産」と総称します。)の賃貸状況、売却に伴う損益や建替えに伴う除却損等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減することがあります。

    (ハ)収入及び支出の変動に関するリスク
     本投資法人の収入は、不動産の賃料収入に主として依存しています。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により、大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されたり、契約通りの増額改定を行えない可能性もあります(なお、これら不動産に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「4.不動産及び信託の受益権に関するリスク (ロ) 賃貸借契約に関するリスク」をご参照下さい。)。本書において開示されている取得済資産及び取得予定資産の過去の収支の状況や賃料総額も、当該資産の今後の収支の状況や賃料総額を必ずしも予測させ又は保証するものではありません。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。

      一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、大規模修繕等に要する費用支出、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。

      このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少したり、本投資証券の市場価格が下落することがあります。

    (ニ)投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
     本投資法人は、新規投資口を随時追加発行する予定ですが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の計算期間中に追加発行された投資口に対して、当該計算期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われる場合には、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。
     更に、追加発行の結果、本投資法人の投資口1口当たりの価値や市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。

  2. 本投資法人の運用方針に関するリスク
    (イ)優先交渉権等に関する覚書等に基づく物件取得が想定通りに行えないリスク
     本投資法人及び資産運用会社は、伊藤忠サポートライン会社、日土地サポートライン会社、パートナーサポートライン会社及び物件情報提供ライン会社との間で、優先交渉権等に関する覚書等を締結しています。しかし、これらの会社は、一定の不動産につき、本投資法人及び資産運用会社に情報の提供を受ける権利や取得に関する優先交渉権等を与えるものにすぎず、これらの会社は、本投資法人に対して、不動産を本投資法人の希望する価格で売却する義務等を負っているわけではありません。また、これらの会社が本投資法人と競合して不動産を取得する可能性を完全に排除するものではありません。即ち、本投資法人は、優先交渉権等に関する覚書等により、本投資法人が適切であると判断する不動産を適切な価格で取得できることまで常に確保されているわけではありません。したがって、本投資法人は、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
    (ロ)地域的な偏在に関するリスク
     本投資法人は、取得価格を基準として40~60%以上を都心主要7区に所在する不動産等に投資する方針です。このように、投資対象となる不動産が地域的に偏在していることから、都心主要7区における地域経済や不動産マーケットの変動、地震・台風等の災害、人口変動等の特有な事象の発生によって、本投資法人の収益に重大な悪影響が生じる可能性があります。
    (ハ)不動産を取得又は処分できないリスク
     不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強いために代替性がなく、流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は処分できない可能性があります。また、不動産投資信託、その他のファンド及び投資家等による不動産に対する投資は活発化する傾向にあり、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産等及び不動産対応証券等を取得することができるとは限りません。取得が可能であったとしても、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。更に、本投資法人が不動産等及び不動産対応証券等を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。

      以上の結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があり、またポートフォリオの組替えが適時に行えない可能性があります。
    (ニ)投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
     投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなかったり、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる可能性があります。

      また、本投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該金銭の借入れ又は投資法人債の発行の条件として、投資主への金銭の分配を制約する等の財務制限条項が設けられたり、運用資産に担保を設定することとなったり、規約の変更が制限される等の可能性があり、このような制約が本投資法人の運営に支障をきたし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。

      更に、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は、本投資法人の借入額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。

  3. 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
    (イ)伊藤忠商事株式会社等への依存、利益相反に関するリスク
     伊藤忠商事株式会社は、本書の日付現在、本投資法人の資産運用会社の45.0%の株式を保有しており、資産運用会社の常勤取締役及び従業員の主要な出向元であり、資産運用会社の社外取締役の兼任先です。また、本投資法人及び資産運用会社は、優先交渉権等に関する覚書を締結しています。本投資法人及び資産運用会社は、伊藤忠商事株式会社と密接な関係を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対する影響は相当程度高いということができます。

      したがって、本投資法人及び資産運用会社が伊藤忠商事株式会社との間で、本書の日付現在における関係と同様の関係を維持できなくなった場合や、伊藤忠商事株式会社に業務の懈怠その他義務違反があった場合、上記契約が解除された場合、伊藤忠商事株式会社が倒産手続その他の理由により業務遂行能力を維持できなくなった場合等には、本投資法人に悪影響が及ぶ可能性があります。

      更に、本投資法人や資産運用会社が、資産運用活動その他を通じて、伊藤忠商事株式会社又は同社が運用するファンドとの間で取引を行う場合、伊藤忠商事株式会社又は同社が運用するファンドの利益を図るために、本投資法人の投資主の利益に反する行為を行う可能性もあり、その場合には、本投資法人の投資主に損害が発生する可能性があります。

      上記のほか、本投資法人及び資産運用会社は、本投資法人の資産運用会社の出資会社との間で優先交渉権等に関する覚書等を締結しています。出資会社についても、上記の伊藤忠商事株式会社と同様のことが言えます。
    (ロ)伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社への依存、利益相反に関するリスク
     本投資法人は、不動産のマスターリース兼PM業務を伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社へ一括委託しています。 本投資法人及び資産運用会社は、伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社と密接な関係を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対する伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社の影響は相当程度高いと考えられます。
    したがって、本投資法人及び資産運用会社が伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社との間で、本書の日付における関係と同様の関係を維持できなくなった場合や、伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社に業務の懈怠その他義務違反があった場合、上記契約が解除された場合、伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社が倒産手続その他の理由により業務遂行能力を維持できなくなった場合等には、本投資法人に悪影響が及ぶ可能性があります。
    (ハ)本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
     本投資法人は、投信法に基づき、執行役員及び監督役員から構成される役員会において重要な意思決定を行い、資産の運用を資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、投信法は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本投資法人の関係者に関する義務及び責任を定めていますが、これらの本投資法人の関係者が投信法その他の法令に反し、又は、法定の措置をとらないときは、投資主に損害が発生する可能性があります。

      また、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者が、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)、本投資法人のために忠実に職務を遂行する義務(忠実義務)、利益相反状況にある場合に本投資法人の利益を害してはならない義務、その他の義務に違反した場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主が損害を受ける可能性があります。

      このほかに、資産運用会社又は本投資法人若しくは運用資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、PM会社、建物の管理会社、テナント債務の保証受託会社等があります。本投資法人の収益性の向上及び安定のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はなく、またこれらの者との契約が将来にわたり維持される保証もありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合その他何らかの理由によりこれらの者との契約が終了した場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
    (ニ)本投資法人の執行役員及び資産運用会社の人材に依存しているリスク
     本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
    (ホ)本投資法人及び資産運用会社の歴史が浅いことによるリスク
     本投資法人及び資産運用会社は、それぞれ平成17年9月12日及び平成17年2月2日に設立され、未だ実績が乏しく過去の実績を的確に評価した上で将来の運用成果等を予測することは困難であるといえます。
    (ヘ)インサイダー取引規制等に係る法令上の禁止規定に関する規制が存在しないことによるリスク
     本書の日付現在、本投資法人の発行する投資証券は、上場株式等と異なり、証券取引法に定めるいわゆるインサイダー取引規制の対象ではありません。

     本投資法人及び資産運用会社の一部の役職員は本投資法人の発行する投資証券を保有する可能性があります。本投資法人及び資産運用会社は、その内部規則において、役職員が証券取引法で禁じられているインサイダー取引に類似の取引を行わないよう規制し、役職員の行う本投資法人の発行する投資証券の取得及び譲渡に関する手続きも定めていますが、本投資法人及び資産運用会社の役職員等がかかる規則を遵守せずにインサイダー取引に類似の取引を行った場合には、本投資証券に対する一般の信頼を害し、ひいては市場価格の下落や本投資証券の流動性の低下等の悪影響をもたらす可能性があります。
    (ト)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
     本投資法人の規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会及び資産運用会社の取締役会が定めたより詳細な投資方針、ポートフォリオ構築方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
    (チ)本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
     本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。)(以下「破産法」といいます。)上の破産手続、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。)(以下「民事再生法」といいます。)上の再生手続及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服する可能性があります。

      本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。

      本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産の分配を受けることによってしか投資金額を回収することができません。このため、投資主は、投資金額の全部又は一部を回収することができない可能性があります。
    (リ)敷金及び保証金に関するリスク
     本投資法人は、運用資産の賃借人が無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を運用資産の取得資金の一部として利用する場合があります。しかし、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があり、この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなります。また、敷金又は保証金を本投資法人が利用する条件として、本投資法人が敷金又は保証金の返還債務を負う場合があり、当該返還債務の履行に必要な資金を借入れ等により調達する可能性があります。これらの結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。

  4. 不動産及び信託の受益権に関するリスク

    本投資法人の主たる運用資産は、不動産等及び不動産対応証券です。また、本投資法人は、「投資対象」に記載する不動産を信託する信託の受益権を取得する予定です。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
    なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「(レ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照下さい。

    (イ) 不動産の欠陥又は瑕疵に関するリスク
     不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵等が存在している可能性があり、また、かかる欠陥、瑕疵等が取得後に判明する可能性もあります。本投資法人は、状況によっては、前所有者に対し一定の事項につき表明及び保証を要求し、瑕疵担保責任を負担させる場合もありますが、たとえかかる表明及び保証が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任や瑕疵担保責任を追及できたとしても、これらの責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者が解散したり無資力になっているために実効性がない場合もあります。

      これらの場合には、当該欠陥、瑕疵等の程度によっては当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために買主である本投資法人が当該欠陥、瑕疵等の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主に損害を与える可能性があります。

     また、本投資法人が不動産を売却する場合、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。)(以下「宅建業法」といいます。)上、宅地建物取引業者とみなされるため、同法に基づき、売却の相手方が宅地建物取引業者である場合を除いて、不動産の売買契約において、瑕疵担保責任に関し、買主に不利となる特約をすることが制限されています。従って、本投資法人が不動産を売却する場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵等の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主に損害を与える可能性があります。

      加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受けたり、第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。

      また、不動産登記簿の記録を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。更に、権利に関する事項のみならず、不動産登記簿中の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上可能な範囲で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
    (ロ)賃貸借契約に関するリスク
    1. 賃貸借契約の解約リスク、更新がなされないリスク
      賃借人が賃貸借契約上解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了したり、また、賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされない場合もあるため、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。なお、解約禁止条項、解約ペナルティ条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合でも、裁判所によって解約ペナルティが減額されたり、かかる条項の効力が否定される可能性があります。 以上のような事由により、賃料収入が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主に損害を与える可能性があります。
    2. 賃料不払に関するリスク
      賃借人の財務状況が悪化した場合又は破産手続、民事再生法上の再生手続若しくは会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。)(以下「会社更生法」といいます。)上の更生手続その他の倒産手続(以下、併せて「倒産等手続」と総称します。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があり、この延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況になった場合には、投資主に損害を与える可能性があります。
    3. 賃料改定に係るリスク
      テナントとの賃貸借契約の期間が比較的長期間である場合には、多くの場合、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。 したがって、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主に損害を与える可能性があります。
      また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉いかんによっては、必ずしも、規定通りに賃料を増額できるとは限りません。
    4. 賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
      建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。)(以下「借地借家法」といいます。)第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができます。請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主に損害を与える可能性があります。なお、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合には、同条に基づく賃料増額請求もできなくなるので、かかる賃料が契約締結時に予期し得なかった事情により一般的な相場に比べて低額となり、通常の賃貸借契約の場合よりも低い賃料収入しか得られない可能性があります。
    5. 敷引特約に関するリスク
      敷引特約がある賃貸借契約については、敷引額の敷金額に対する割合が高い場合において、敷引特約の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人が引き継いだ敷金額より多額の敷金返還債務を負う可能性があります。
    (ハ)災害等による建物の毀損、滅失及び劣化のリスク
     火災、地震、津波、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、戦争、暴動、騒乱、テロ等(以下「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するため一定期間建物の不稼働を余儀なくされることにより、賃料収入が減少し、又は当該不動産の価値が下落する結果、投資主に損害を与える可能性があります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額される場合若しくは遅れる場合には、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主に損害を与える可能性があります。
    (ニ)不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
     運用資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法(明治29年法律第89号。その後の改正を含みます。)(以下「民法」といいます。)上無過失責任を負うことがあります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、上記(ハ)と同様、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。

      また、不動産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕又は対処に関連して多額の費用を要する可能性があります。加えて、不動産の所在地によっては、自然由来と推定される原因によって有害物質が存在し、その対処に関連して相当の費用を要する可能性があります。かかる修繕又は対処が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。

      更に、経済状況によっては、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
    (ホ)不動産に係る行政法規及び条例等に関するリスク
     建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致するよう手直しをする必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建物を建築できない可能性があります。

      また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法、地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域における工作物の新築等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、航空法(昭和27年法律第231号。その後の改正を含みます。)による建造物等の高さ制限、一定割合において住宅を付置する義務や、駐車場設置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分及び建替え等に際して、事実上の困難が生じたり、これらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。更に、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されたり、建物の敷地とされる面積が減少し収益が減少する可能性があります。また、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
    (ヘ)法令の制定又は変更に関するリスク
     土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。その後の改正を含みます。)(以下「土壌汚染対策法」といいます。)のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。

      また、消防法その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
    (ト)売主の倒産等の影響を受けるリスク
     本投資法人が、債務超過の状況にある等財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消される(詐害行為取消)可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。

      また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本項において「買主」といいます。)から更に不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取消され又は否認される根拠となりうる事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が否認され、その効果を主張される可能性があります。
    本投資法人は、管財人等により売買が否認又は取消されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により売買が否認又は取消されるリスク等を回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。

      更に、取引の態様によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
    (チ)マスターリース会社に関するリスク
     運用資産である特定の不動産において、PM会社が不動産の所有者である信託受託者との間でマスターリース契約を締結してマスターリース会社となり、その上でエンド・テナントに対して転貸している場合があります。また、今後も同様の形態を用いる場合があります。

      この場合、マスターリース会社の財務状態の悪化により、エンド・テナントからマスターリース会社に対して賃料が支払われたにもかかわらず、マスターリース会社から賃貸人である信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
    また、マスターリース会社の倒産又は契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合には、稼働率の低下等が生じる可能性があります。
    (リ)転貸に関するリスク
     賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸する権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人の賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。

      また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合等には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
    (ヌ)テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
     テナントによる不動産の利用・管理状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。また、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
    (ル)共有物件に関するリスク
     運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々のリスクがあります。

      まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため(民法第252条)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。

      更に、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第2項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。

      この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。

      他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。

      共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。

      不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。

      共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
    (ヲ)区分所有建物に関するリスク
     区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。)(以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替決議等をする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数の建替決議が必要とされる等(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。

      区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、区分所有者間で優先的購入権の合意をすることがあることは、共有物件の場合と同様です。

      区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。

      区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の禁止を善意の第三者に対抗することができず、分離処分が有効となります(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。

      また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。

      このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
    (ワ)借地物件に関するリスク
     借地権とその借地上に存在する建物については、自らが所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払その他により解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人が希望する価格以上である保証はありません。

      また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売されたり、借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。

      更に、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払が予め約束されていたり、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。

      加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。

      借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、価格の減価要因が増す可能性があります。
    (カ)借家物件に関するリスク
     本投資法人は、建物(共有持分、区分所有権等を含みます。)を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。

      この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、上記(ワ)の借地物件の場合と同じです。

      加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされているため、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
    (ヨ)開発物件に関するリスク
     本投資法人は、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するために予め開発段階で売買契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約通りの引渡しを受けられない可能性があります。この結果、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
    (タ)有害物質に関するリスク
     本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合において、当該土地について産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。

      この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は、支出を余儀なくされた費用について、その原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。

      また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やPCB廃棄物が保管されている場合等には、当該建物の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的若しくは部分的交換が必要となる場合又は有害物質の処分若しくは保管が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人にかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があります。

      将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
    (レ)不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
     本投資法人は、主として不動産を信託の受益権の形式で取得します。

      信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。

      信託契約上信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権は有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。  信託法上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。

      また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。

      更に、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵等につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の瑕疵担保責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる瑕疵担保責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主に損害を与える可能性があります。

  5. 税制に関するリスク
    (イ)導管性要件に関するリスク
     税法上、投資法人に係る課税の特例規定により一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、投資法人による利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の異動、分配金支払原資の制限・不足、借入金等の定義に係る不明確性、会計処理と税務処理の取扱いの差異、税務当局と本投資法人との見解の相違、法律の改正、その他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が、導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響をもたらし、本投資証券の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。また、本投資法人において、導管性要件を満たさないこととなる場合、支払配当額が法人税の課税所得の計算上損金不算入となるため、会計上の利益と税務上の課税所得の間に大幅な乖離が生じる可能性があります。このような一事業年度における会計上の利益及び税務上の課税所得の大幅な乖離は、その乖離の生じた事業年度以降の支払配当要件へも影響を及ぼすこととなる場合があります。即ち、本投資法人の租税債務が発生することにより、次年度以降も支払配当要件を満たすことが困難となり、通常の法人と同様に法人税等の課税を受けることとなり、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
    (ロ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
     本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により税務否認等の更正処分を受けた場合には、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において損金算入した配当金が税務否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
    (ハ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
     本投資法人は、規約における投資方針において、その有する特定資産の価額の合計額に占める特定不動産(不動産、不動産の賃借権、地上権又は不動産、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の割合が100分の75以上となるように資産を運用することとしています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
    (ニ)一般的な税制の変更に関するリスク
     不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資証券に係る利益の配当、出資の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資証券の保有若しくは売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。

  6. その他
    (イ)取得予定資産を組み入れることができないリスク
     信託受益権売買契約において定められた停止条件が成就しない場合等においては、取得予定資産を取得することができない可能性があります。この場合、本投資法人は、代替資産を取得するための努力を行う予定ですが、短期間に投資に適した物件を取得することができる保証はなく、また、短期間に物件を取得できず、かつ、かかる資金を有利に運用できない場合には、投資主に損害を与える可能性があります。
    (ロ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
     本投資法人が不動産を売却した場合に、当該不動産に物的又は法的な瑕疵があるために、法令の規定又は売買契約上の規定に従い、瑕疵担保責任や表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任に関するリスクを排除できない場合があります。
    (ハ)専門家報告書等に関するリスク
     不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価額は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価額の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価額による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。

      建物エンジニアリング・レポート及び地震PML評価報告書は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査又は施設管理者への聞き取り等を行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用並びに再調達価格の算出、並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載したものであり、不動産に欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。 また、不動産に関して算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
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投資リスクに対する管理体制

本投資法人及び資産運用会社は、以上のようなリスクが投資リスクであることを認識しており、その上でこのようなリスクに最大限対応できるようリスク管理体制を整備しています。しかしながら、当該リスク管理体制については、十分に効果があることが保証されているものではなく、リスク管理体制が適切に機能しない場合、投資主に損害が及ぶおそれがあります。

    (イ)本投資法人の体制
    1. 役員会
      本投資法人は、業務執行の意思決定及び執行役員に対する監督機関として役員会が十分に機能し、執行役員が本投資法人のために忠実にその職務を遂行するよう努めています。本投資法人の定時役員会は、少なくとも3か月に一度、開催され、定時役員会において、執行役員は、資産運用会社、一般事務受託者及び資産保管会社の業務執行状況等を報告するものとされています。また、定時役員会において、法令等の遵守の基本方針を決定するとともに、定期的に法令等遵守に関する事項について議論するものとされています。
    2. 資産運用会社への牽制
      本投資法人と資産運用会社との間で締結された資産運用委託契約には、資産運用会社が規約の基準に従って運用ガイドラインを制定すること並びに投信法、規約、運用ガイドライン及び資産運用会社の社内諸規則に従って委託業務を遂行することを定めています。また、資産運用会社が制定する資産運用計画書等は本投資法人が承認するものであり、かつ、資産運用会社に対して本投資法人への報告義務を負わしめていることにより、本投資法人の投資リスクに対する管理体制を強化しています。
    3. 内部者取引等管理規程
      本投資法人は、内部者取引等管理規程を制定し、役員によるインサイダー類似取引の防止に努めています。なお、同規程においては、本投資法人の執行役員が投資口の売買を行うことは禁止されています。

    (ロ)資産運用会社の体制

    資産運用会社は、前記のようなリスクの存在及びそのリスク量を十分に把握するよう努めており、それらのリスクを回避する手段を以下のように構築し、厳格なルールに則り運用資産への投資及び運用を行っています。

    1. 運用ガイドラインの制定及び遵守
      資産運用会社は、規約に沿って、本投資法人から資産運用の一任を受けた投資法人資産運用会社として、運用ガイドラインを制定し、投資方針、利害関係者との取引のルール、分配の方針、開示の方針等の投資運用に関する基本的な考え方について定めています。資産運用会社は、運用ガイドラインを遵守することにより、投資運用に係るリスクの管理に努めます。
    2. 組織体制
      資産運用会社では、利害関係者との取引等の一定の重要事項については、コンプライアンス・オフィサーが審査した上、コンプライアンス委員会及び投資委員会の審議・決議を経て、更に、本投資法人の役員会及び資産運用会社の取締役会の承認を得るという厳格な手続を経ることが要求されています。このような手続により、資産運用会社は、リスクの存在及び量を十分に把握します。
    3. 利害関係者との取引規程
      利害関係者との間で取引を行う場合、当該利害関係者との間の取引内容につき、内部規程に従い、所要の手続きを経るものとします。
    4. 内部者取引等管理規程
      資産運用会社では、内部者取引等管理規程を制定し、資産運用会社の役職員等によるインサイダー類似取引の防止に努めています。なお、同規程によれば、資産運用会社の役職員等が本投資法人の投資口を取得することは禁止されています。
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