サステナビリティに関する取り組み
Ⅲ. 環境への取り組み
A. 環境に配慮した資産運用
投資対象物件の設備更新や本投資法人と取引関係にある事業会社との連携を通じ、既存建築物での 省エネ、節水等、環境に配慮した資産運用を行います。
a.大規模修繕
バリューアップ工事を通じた使用耐用年数の長期化による環境への貢献
f.プロパティ・マネジメント会社の評価に際し、「環境に関する取り組み状況」を評価基準の一つとして位置付け
g.ビルメンテナンス会社との環境配慮に関する目標共有及び協働
h.カーシェアリングの導入
2022年1月末時点で、3物件(ポートフォリオの1%相当)に導入しております。
i.その他の取り組み
ヒートアイランドの軽減やCO2削減対策として緑地を設置したり、都市型水害や地盤沈下緩和対策としてインターロッキングブロックを設置しております。
1. 大規模修繕 / バリューアップ工事実施により耐用年数長期化
資産価値の維持及び建物使用耐用年数の長期化を図ることで、投資主価値の向上及び環境への貢献(ライフサイクルCO2の削減)を目指しています。
2. 目標と実績(エネルギー使用量・温室効果ガス排出量・水使用量・廃棄物重量)
IRMは、「環境パフォーマンスデータ管理基準」を策定し、「サステナビリティ方針」を実践すべく、本投資法人の保有する不動産ポートフォリオのエネルギー効率化を図り、エネルギー消費量及び温室効果ガス排出削減に努めております。ポートフォリオ全体において、中長期的に見て年平均原単位1%のエネルギー消費量及び温室効果ガス排出量の削減を目標としております。
また、2021年1月に、レジディア島津山の電力使用量に対するグリーン電力証書を購入し、再生可能エネルギーの普及や地球温暖化防止に間接的に貢献しています。
そして、保有物件における電気消費量の実績カバー率を向上するべく、2022年1月末時点で52物件(ポートフォリオの19.1%相当)に電力量計測システムを設置しております。同システム設置により専有部の電気消費量が計測可能になります。なお、テナントに対しては、省エネルギーに係る各種啓蒙策を実施しております。
項目 |
短期目標 |
長期目標 |
---|---|---|
エネルギー使用量 |
毎年度 |
5年間(2019年度~2024年度) |
温室効果ガス(CO2)排出量 |
毎年度 |
5年間(2019年度~2024年度) |
水使用量 |
毎年度 |
5年間(2017年度~2021年度) |
廃棄物重量 |
毎年度 |
5年間(2017年度~2021年度) |
※Scope1及びScope2共に同様の削減目標としております。
エネルギー
内訳 |
単位 |
2016年度 |
2017年度 |
2018年度 |
2019年度(基準年) | 2020年度 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 増減率 | 実績 | 増減率 | 実績 | 増減率 | 実績 | カバー率 |
増減率 |
削減率 |
|||
合計 |
総量 |
17,792 |
20,816 |
15.2% |
20,115 |
-3.5% |
19,865 |
-1.4% |
18,656 |
100.0% |
-7.8% |
1.0% |
原単位 |
0.093 |
0.107 |
0.103 |
0.102 |
0.094 |
|||||||
電力 |
総量 |
15,490 |
15,425 |
-2.1% |
15,113 |
-2.2% |
14,829 |
-2.1% |
14,607 |
100.0% |
-3.4% |
-9.4% |
原単位 |
0.088 |
0.086 |
0.084 |
0.082 |
0.079 |
|||||||
燃料 |
総量 |
682 |
1,695 |
111.0% |
1,748 |
5.6% |
1,909 |
4.4% |
1,731 |
100.0% |
24.5% |
189.6% |
原単位 |
0.037 |
0.079 |
0.083 |
0.087 |
0.108 |
|||||||
地域 |
総量 |
1,620 |
3,696 |
128.2% |
3,254 |
-12.0% |
3,127 |
-3.9% |
2,318 |
100.0% |
-25.8% |
43.1% |
原単位 |
0.037 |
0.084 |
0.074 |
0.071 |
0.053 |
温室効果ガス(CO2)
内訳 |
単位 |
2016 |
2017年度 |
2018年度 |
2019年度(基準年) | 2020年度 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 増減率 | 実績 | 増減率 | 実績 | 増減率 |
実績 |
カバー率 |
増減率 |
削減率 |
|||
合計 |
総量 |
8,662 |
9,227 |
4.9% |
8,982 |
-2.8% |
8,834 |
-1.8% |
8,519 |
100.0% |
-5.3% |
-5.2% |
原単位 |
0.0453 |
0.0475 |
0.0462 |
0.0453 |
0.0429 |
|||||||
直接排出 |
総量 |
120 |
299 |
112.1% |
310 |
5.7% |
338 |
4.1% |
306 |
100.0% |
24.7% |
190.9% |
原単位 |
0.0066 |
0.0140 |
0.0148 |
0.0154 |
0.0192 |
|||||||
間接排出 |
総量 |
8,542 |
8,927 |
2.9% |
8,672 |
-3.0% |
8,496 |
-2.2% |
8,213 |
100.0% |
-5.1% |
-7.3% |
原単位 |
0.0447 |
0.0460 |
0.0446 |
0.0436 |
0.0414 |
|||||||
Scope3 (※) |
総量 |
- | 1,555 | - | 2,216 | 43.8% | 1,917 | -13.0% | 2,287 | 66.8% | 20.0% | - |
原単位 |
- | 0.0016 | - | 0.0023 | 0.0020 | 0.0024 |
※保有物件にて排出されるごみの量に、燃焼時の排出係数を乗じて算出しております。
水使用量
単位 | 2017年度 (基準年) |
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 増減率 | 実績 | 増減率 | 実績 |
カバー率 |
増減率 | 削減率 (2017年度対比) |
||
総量 (㎥) |
198,929 | 199,872 |
0.5% |
232,415 |
16.0% |
239,970 | 98.1% |
1.2% |
17.8% |
原単位 (㎥/㎡) |
1.106 | 1.110 | 1.288 | 1.304 |
項目 | 単位 | 2017年度 (基準年) |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|---|---|
上水使用料 |
総量 (㎥) |
198,929 | 199,872 | 232,415 | 239,970 |
原単位 (㎥/㎡) |
1.106 | 1.110 | 1.288 | 1.304 |
項目 | 単位 | 2017年度 (基準年) |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|---|---|
下排水量 |
総量 (㎥) |
198,929 | 199,872 | 232,415 | 239,970 |
原単位 (㎥/㎡) |
1.106 | 1.110 | 1.288 | 1.304 |
廃棄物重量
単位 | 2017年度 (基準年) |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 増減率 | 実績 | 増減率 | 実績 |
カバー率 |
増減率 |
削減率 |
||
総量 (t) |
4,978 | 6,768 | 36.0% | 6,118 | -9.6% | 7,130 |
66.8% |
16.5% | 43.2% |
原単位 (t/㎡) |
0.0052 | 0.0071 | 35.1% | 0.0064 | -9.5% | 0.0073 | 14.7% | 40.2% | |
リサイクル率 (%) |
21% |
18% |
-15.9% |
21% |
17.6% |
20% | -6.5% | -7.5% |
※パフォーマンス注釈
- 集計期間
集計期間は、各4月~3月とし、原則とし年次で実績を更新します。 - 算出方法について
- 原単位の計算方法は、(電気やCO2等の使用総量)÷原単位分母(共有部面積(㎡))として計算します。
- カバー率の計算は、以下の通りです。
カバー率(%)=①データ取得範囲(㎡)÷②データ取得可能な最大範囲(㎡)
①データ取得範囲とは、データの取得出来た範囲を指します。
②データ取得可能な最大範囲とは、当該物件の共有部面積を指します。
- 集計対象
- 各年度において通期で保有している物件の比較となります。
3. グリーンリース条項の設定
テナントとの間で、エネルギーと水の適切な利用に関する賃貸借契約条項を設定しております。(2022年1月末時点賃貸戸数住戸の内約62.2%の住戸と締結)
また、プロパティ・マネジメント会社との管理委託契約においても、グリーンリース条項を盛りこんでおります。
なお、契約に基づきビルメンテナンス会社から、年1回LED設置に係る提案を頂いております。
4. サプライチェーンマネジメント
IRMは、「サステナビリティ方針」に掲げた個別項目の実現に向けてサプライヤーと協働して取り組むべく「グリーン調達ポリシー」を定めています。本ポリシーに基づき、2016年度より全てのプロパティ・マネジメント会社を含む主要な取引先について、その取引開始時及び毎年1回、サステナビリティに関する取り組み状況を含むアンケートを実施し評価することで、サプライヤーとのエンゲージメントを強化しています。
また、サプライヤーからIRMの調達に関する方針の理解と協力を得ていくことが重要と考え、2017年度に主要な取引先であるPM会社・BM会社に対して「グリーン調達ガイドライン」を改めて通知しました。
B. 都市部への投資
多種多様な物件への投資を通じ、環境負荷の軽減を促進し、街やコミュニティの活性化に貢献しております。
1. 複合/多用途物件への投資
複合/多用途物件(2022年1月末時点で80物件(ポートフォリオの29%相当))への投資を通じ、物件入居者や周辺住民の生活利便性向上、環境負荷軽減を促進します。また、保有物件には店舗や公開空地を有しているものもあり、同物件に人が集まってくる等街やコミュニティの活性化に貢献しています。
- 公共交通機関の利用を促進し、CO2発生を抑制する駅近物件への投資 最寄駅から徒歩10分以内の物件:94%(取得価格ベース)
- スーパーやコンビニなど生活利便施設が併設される物件への投資
- 周辺住民の利用できる公開空地を有する物件(2022年1月末時点で7物件(ポートフォリオの3%相当))への投資
- バリアフリー設備等高齢者に対応した物件への投資
ADRの保有物件は、建築基準法に基づき該当物件においては、車いす用の導線確保(スロープ・手すり・専用駐車場)を原則設置しております。
なお、ライフ&シニアハウス港北2にて、法定上は必要ないものの、テナントからの要望に基づき、エントランスへのスロープに手すりを設置しました。
2. 都市再開発*により開発された物件への投資
都市再開発により開発された物件への投資を通じ、周辺住民の利便性を向上させます。
都市再開発では街区が整備され、土地の高度利用が行われます。
それにより都市再開発での開発物件に人が集まってくる等街やコミュニティの活性化に貢献します。
*J-REITは法制度上、物件建設等開発行為は制限されております。
3. 都市部の既存開発地域への投資
既存市街地へ投資することにより、水道や電気、そして小学校等既存のインフラが使用できます。
また、都市のスプロールを防ぎ、交通によるエネルギー消費や緑地の開発を防ぐことができます。
C. スポンサーグループとの協働
IRMのスポンサーグループと以下の様な取り組みを協働しております。
- 物件開発・購入
複合/多用途物件開発等賃貸マンションにおける環境・地域に貢献できる案件の積極的な推進。 - 物件管理
省エネルギー啓発等環境への配慮やAED設置等地域への貢献。
D.気候変動への方針
IRMは、気候変動問題は自然環境と社会構造に劇的な変化をもたらし、事業活動全体に大きな影響を与える重要課題であると認識しております。同問題への対応等については、以下リンクをご覧ください。
E.気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD*)提言への賛同
IRMは、2020年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」といいます。)」の提言に賛同しました。IRMは、 気候変動が、IRMおよび本投資法人の今後の持続的成長へ影響を及ぼす重要課題であると認識しております。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業に与える影響を評価し、リスク及び機会についての対策を講じ、関連情報の開示を積極的に行うことにより、今後もサステナブルな社会の実現に貢献していきます。
なお、TCFD賛同に合わせて、TCFDコンソーシアム(TCFDに賛同した日本企業・団体により構成)にも入会しております。
*TCFDとは、Task Force on Climate-related Financial Disclosure の略で、主要国の中央銀行や金融規制当局で構成される金融安定理事会が2015年に設置しました。2017年6月には、金融市場の不安定化リスクを低減するため、企業に対して中長期の気候変動に起因する事業リスクと機会、これらの財務状況への影響及び具体的な対応策や戦略等を開示することを提言しています。
特定した気候関連リスクと機会および戦略(2021年3月現在)
リスク分類 |
時間軸 | 影響 | 戦略 | |
---|---|---|---|---|
移行リスク |
政策・法規制 |
中期 |
・炭素税導入や排出量取引制度の拡大による、CO2排出コストの増加 |
・計画的な改修工事の実施 ・グリーン電力証書・再エネ導入 ・省エネ規制の基準を満たす新規物件取得 |
テクノロジー |
中期 |
・再エネ・省エネ技術の進化・普及による、ポートフォリオの陳腐化を防ぐための新技術導入の費用増加 |
・計画的な改修工事の実施 ・新技術導入済みの新規物件取得 |
|
市場 |
中期 |
・省エネ対応物件の価格上昇、未対応物件の価格下落可能性 |
・既存物件および新規取得物件におけるグリーンビル認証の取得推進 (グリーンボンド発行における適格不動産の拡大) |
|
評判 |
短期 |
・投資家からの評判変化 |
・TCFD他、投資家がESG投資の際に重要視する開示の発展 ・テナントのニーズに応じたサービスの展開(防災・省エネ対応) |
|
物理的リスク |
急性 |
短期 |
・豪雨や洪水による浸水、内水氾濫被害の増加 ・保険料の増加 |
・物件ごとの災害リスク評価実施 |
慢性 |
長期 |
・海面上昇により海抜ゼロメートルエリアの物件が浸水する可能性 ・平均気温の上昇、猛暑日の増加に伴う室内温度の上昇による快適性の低下 |
・物件ごとの災害リスク評価実施 |
|
機会 |
レジリエンス |
短期 |
・自然災害に備えた物件の需要が高まる。 |
・浸水対策として、各物件の災害リスク評価結果に応じ、 ハード・ソフトの両面から、必要な対策を実施。 防水板の設置、災害訓練実施、防災グッズ配布等。 |
水害リスクの把握
IRMでは、ポートフォリオに対し計画規模※にて想定される浸水リスクを把握しております。
経済的損害は、火災保険にてカバーしております。
ガイドライン※※が定める電気設備への対応については、1階以下にキュービクルがある5物件を対象に、必要に応じて浸水対策を実施しております。
* 方法:洪水浸水想定区域(国土交通省、都道府県/外水(計画規模・最大規模・高潮)・内水)、浸水予想区域図、ハザードマップ等による状況把握。 浸水の可能性にあたっては計画規模を採用しています。
** 2020年6月に国土交通省から公表された「建築物における電気設備の浸水対策に関するガイドライン」のことをいいます。
また、テナントの安全確保への対応としえ、3m以上の浸水の恐れがあり且つ1階に住戸がある6物件を対象に、上階への避難度誘導すべく、浸水センサー等を設置しております。
F.気候変動イニシアティブ(JCI)への参加
IRMは、「気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)」(以下「JCI」といいます。)の基本的な考え方に賛同し、2019年7月にJCIに参加しました。
JCIは、2015年の地球温暖化防止に向けた「パリ協定」成立を受けて、気候変動対策に積極的に取り組む日本の企業や自治体、非政府組織などが主体となって設立し、自主的に脱炭素社会の実現を目指すネットワークです。日本全体のムーブメントを創出し、参加メンバーの活動サポートや政府への働きかけ、国際社会との連携活動を通して、脱炭素社会の実現を目指しています。
*JCIの詳細については、「気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)」のウェブサイトをご覧ください。